出産育児一時金の給付額改正(42万円⇒50万円)の原資の一部とするためや、高齢者医療における後期高齢者と現役世代の負担格差是正のため、「高齢者医療確保法」の保険料上限額が段階的に引き上げられる改正案が閣議決定された。
令和4年10月からは、75歳以上で一定以上所得がある後期高齢者の窓口負担額が2割に改正されている。これは、これまで75歳以上の現役並所得者(原則、課税所得145万円以上※収入が383万円未満/1人、520万円未満/世帯で申請すると現役並所得者でなくなるケースもあり)の場合は3割の窓口負担だったが、それ以外の方は1割負担で現役世代の負担率はおよそ4割もの状況だったところからの改正である。
今回の改正は、一定以上の収入のある後期高齢者の保険料上限額(賦課限度額)を段階的に引き上げるもので、それは上述の通り、出産育児一時金増額分の原資の一部とすることや、制度創設の2008年に比較すると、後期高齢者の負担率が2割増加しているのに比べて、現役世代は7割増加しているひずみを解消する目的が背景にある。
これまでの後期高齢者の保険料上限額は年間66万円だったが、以下の要件に当てはまる方は令和6年度には75万円、令和7年度には80万円に引き上げられる。
なお、引上げ対象は全後期高齢者の4割相当となる見込みであり、厚生労働省による年間保険料額の試算では、年収200万円の場合、令和6年度は制度改正に伴う増額はないが、令和7年度は3,900円増の90,700円となる。年収400万円の場合は、両年度ともに14,000円増の231,300円となる。